見た目が似ているため、よく比較されるバターとマーガリンですが、何がどう違うのかわからない方も多いのではないでしょうか。今回は、バターとマーガリンについて、何が違うのか、特徴や成分についてや使い分けの方法なども詳しく解説していきます。
バターとマーガリンの違いは何?
主成分の違い
違いを一言で説明すると、バターは動物性油脂、マーガリンは植物性油脂を原料としています。
バターは牛乳の乳脂肪分からできており、マーガリンは菜種油、パーム油、大豆油などの植物性の油からできています。
栄養素の違い
◎100gあたりの栄養素
バター | マーガリン | |
---|---|---|
エネルギー | 745kcal | 769kcal |
脂質 | 81.0g | 83.1g |
コレステロール | 210mg | 5mg |
カルシウム | 15mg | 14mg |
ビタミンA | 520µg | 24µg |
ビタミンD | 0.6µg | 11.2µg |
ビタミンE | 1.5mg | 15.3mg |
エネルギー、脂質、カルシウムについては、含有量にあまり違いはありません。コレステロール含有量は、バターが圧倒的に多いです。
バターはビタミンAを豊富に含み、マーガリンはビタミンD、ビタミンEを豊富に含んでいます。
値段の違い
バターは比較的価格が高く、マーガリンは比較的安価になっています。その差はおよそ2~3倍ほどです。マーガリンが比較的安価な理由としては、原料が植物油であるため、原料コストや生産コストが低くなっているためです。
そもそもバターとマーガリンとは?作り方や特徴などを解説
バター
牛乳などから乳脂肪分を分離し、それを激しく撹拌し凝集することで作られます。牛乳や乳脂肪分特有の風味やクリーミーな味わいが特徴です。
「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令(乳等省令)」で成分などの規格や製造方法などが定められており、乳脂肪分が80%以上とされています。
マーガリン
植物油に水分や乳化剤、その他の添加物などを加えて乳化し、冷やし固めることで作られます。植物油特有の風味や、あっさりとした味わいが特徴です。
「マーガリン類の表示に関する公正競争規約」で成分規格や製造方法が定められています。植物油脂(乳脂肪を含まないものまたは乳脂肪を主原料としないものに限る)を原料とし、油脂含有率が80%以上とされています。
ファットスプレッドとは?
「マーガリン類」の中で、マーガリンとファットスプレッドの2つに分類されています。
マーガリン | 油脂含有量が80%以上 |
---|---|
ファットスプレッド | 油脂含有量が80%未満 |
ファットスプレッドは、マーガリンよりも油脂含有量が少ないもののことを指します。
また、ファットスプレッドは様々なフレーバーを付けることも許可されているため、チョコ風味、フルーツ風味などのフレーバー付き商品も多くあります。
バターとマーガリン、どちらが健康に良い?
◎100gあたりの栄養素
バター | マーガリン | |
---|---|---|
トランス脂肪酸 | 1.9g | 7.0g |
飽和脂肪酸 | 50.45g | 23.04g |
マーガリンに含まれるトランス脂肪酸
以前はマーガリンを製造する際、水素を添加して作る方法が一般的でした。しかし、この方法で使用していた水素添加物は「トランス脂肪酸」を多く生成しやすくなるということが報告されています。
このトランス脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種で、心臓病や動脈硬化のリスクを高めるという研究結果があり、世界中で問題となっていました。
現在マーガリンを製造する企業などでは、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸を減らす工夫がされており、健康や安全への取り組みが進んできています。
バターに含まれる飽和脂肪酸
バターは、「飽和脂肪酸」を多く含んでいます。この飽和脂肪酸も、心臓病や動脈硬化のリスクが高まることが報告されています。
また、バターには「コレステロール」も多く含まれており、こちらも同様に生活習慣病などへのリスクが懸念されています。過剰摂取には注意が必要です。
どちらも過剰摂取に気を付けよう
トランス脂肪酸・飽和脂肪酸・コレステロールともに、過剰に摂取すると健康へ悪影響を及ぼしてしまいます。バターもマーガリンも、過剰摂取にならないように気を付けましょう。
バターとマーガリンの1回の適切な使用量としては、5~10g程度です。
バターとマーガリンの使い分けは?代用はできる?
バター
独特なコクや風味があり、料理からお菓子作りまで、幅広い用途に使用できます。加熱してもコクのある味や風味が残るため、ソテーやクリームソースなどの加熱する料理、バターの風味を活かしたお菓子作り全般に向いています。賞味期限はマーガリンに比べて短めになっています。
マーガリン
あっさりした風味で、冷えた状態でも柔らかく使いやすいため、サンドイッチ作りなどに適しています。賞味期限がバターよりも長く、値段も安いため、長期保存や大量生産したいお菓子作りなどにも向いています。
どちらも基本的には代用OK!
バターもマーガリンも、基本的には代用することができます。元々マーガリンは、バターが不足していた時代にバターの代用品として誕生したものです。分量なども基本的には同量で代用することができます。味や価格、成分などでお好みのものを選びましょう。
まとめ
今回は、バターとマーガリンの違いについて解説しました。使い分けや注意すべき点などに気を付けながら、美味しく活用していきましょう。
参考:トランス脂肪酸に関するとりまとめ(参考資料) (cao.go.jp)