じゃがいもには多くの品種がありますが、何が違うのか、使い分け方が分からない方もいるのではないでしょうか。
今回は、じゃがいもの品種の中でも代表的な、「男爵」と「メークイン」の違いについて詳しく解説します。
男爵とメークインとは?どんな特徴がある?
じゃがいも自体はアンデスが原産地で、今では様々な品種が世界的に栽培されています。
男爵の特徴
北海道の七飯町が原産です。アメリカ原産のジャガイモを品種改良して栽培したことが男爵の起源とされています。この栽培を始めたとされるのが、川田龍吉男爵です。「男爵」という名前は、この川田龍吉男爵にちなんで名づけられたと言われています。
他の品種よりも生育が早いことが特徴です。
メークインの特徴
イギリス原産のジャガイモが、1910年頃に日本に持ち込まれました。それを北海道の厚沢部町で品種改良されたものが、現在のメークインと言われています。味にクセが少なく、煮崩れしにくいことから、人気の高い品種です。現在では、北海道や熊本県、千葉県などが主な産地です。
その他の代表的な品種
男爵とメークイン以外に有名な品種といえば、「キタアカリ」や「インカのめざめ」などがあります。各品種ごとに特徴があります。
キタアカリ
キタアカリは男爵と同じ粉質で、ホクホクとした食感です。男爵を交雑・改良して作られた品種で、見た目は男爵によく似ています。男爵よりも甘味が強く、切ると中身は黄色味の強い色をしています。北海道の十勝や網走、千葉県などで多く栽培されています。
インカのめざめ
インカのめざめはメークインと同じ粘質で、粘り気が強く固めの食感です。ペルー原産の高級じゃがいもを日本でも栽培できるように品種改良したものです。さつまいものような甘さで濃厚な味をしており、中身は黄色く、他の品種よりも小ぶりなのが特徴です。
長期保存には向かず、市場にあまり出回らないため、幻のジャガイモとも呼ばれています。北海道などで主に栽培されています。
男爵とメークインの大きな違いは○○にあった!
この2つのジャガイモの大きな違いは、でんぷんの含有量です。
男爵とメークインのでんぷん量の比較表
品種 | でんぷん含有量 | 食感 | 硬さ | 茹でた時 | 色 |
男爵 | 14~16% | ホクホク | 柔らかい | 煮崩れしやすい | 白っぽい |
メークイン | 13~14% | しっとり | 硬い | 煮崩れしにくい | 黄色っぽい |
男爵はでんぷん含有量が14~16%であるため、ホクホクとした粉質のジャガイモになります。メークインはでんぷん含有量が13~14%であるため、しっとりとした粘性の高いジャガイモになります。
でんぷん含有量が異なることによって、ジャガイモの食感や硬さなどに違いが出るのです。
男爵イモにおすすめの料理
粉質である男爵イモに適している料理は、マッシュポテト、ポテトサラダ、コロッケ、じゃがバターなどです。メークインと比較すると、茹でた際に煮崩れしやすいです。
また、美味しいマッシュポテトを作るコツは、熱いうちにつぶすことです。冷めてからつぶしてしまうとイモの細胞同士がくっついて分離しづらくなり、粘りが出てしまいます。
そのため、熱いうちにつぶすことでジャガイモ全体の細胞が分離しやすくなり、口当たりの良いなめらかなマッシュポテトにすることができます。
粉ふきいもに関しても同様に、じゃがいも表面の細胞を分離させることによって粉をふかせることができます。
メークイン
粘質であるメークインに適している料理は、カレー、シチュー、肉じゃが、炒め物、煮物などです。
ある程度形を残したい料理に使うのがおすすめです。
ちなみに、食塩を添加してからじゃがいもを長時間加熱すると、食塩に含まれるナトリウムイオンの作用によって煮崩れしやすくなってしまいます。
また、じゃがいもは水から茹でるのが基本です。
シチューを作る際にいきなり牛乳で煮てしまうと、牛乳に含まれるカルシウムイオンの作用により、水で煮たものより硬くなってしまうため、注意が必要です。
ジャガイモの毒はどこにある?美味しいじゃがいもの選び方は?
ソラニンやチャコニンに注意!
「ジャガイモの芽は取りましょう」というのを聞いたことがあるのではないでしょうか。
じゃがいもの芽には、ソラニンやチャコニンと呼ばれる有毒物質(アルカロイドという)が含まれているためです。ジャガイモの芽だけではなく、皮が緑色になった部分にも多く含まれており、腹痛や下痢、めまいなどの神経症状を引き起こす場合があります。
ソラニンやチャコニンは、じゃがいもの収穫後、光を浴びると多量に生成されます。
そのため、じゃがいもの食中毒は、家庭菜園や小学校の授業の一環で栽培されたじゃがいもによるものが多いです。 また子供やお年寄りなどは、健康な大人の1/10程度の摂取量でも食中毒を発症する場合がある、と言われており、特に注意が必要です。
美味しいじゃがいもの選び方や正しい保存方法は?
芽が飛び出して生えているもの、皮が緑色に変色しているものはできるだけ避けるようにしましょう。また、調理する際はしっかりと芽を取り除き、緑色の部分は食べないようにしましょう。
じゃがいもを保存する際は、直射日光に当たらない冷暗所での保存を心掛けましょう。
まとめ
各品種ごとにジャガイモの特性を理解し、使い分けをしましょう。 また、美味しいじゃがいもの選び方や正しい保存方法などを実践し、食中毒を防ぎましょう。